2011年8月31日水曜日

Primera Graduación del PAEM 第1回PAEM卒業式

さて。去る8月4 日午後2時より、Primera Graduación del PAEM 第1回PAEM卒業式が行われました。サンホセ市長のJohnny Araya氏(←次期大統領候補と言われている。)、サンホセ市議会の女性委員会委員長、銀行関係者・省庁関係者・プロジェクトの先生方、その他プロジェクトに関係している人たちが一同に集まり、記念すべき会となりました。

2009年11月にこちらに来てからプロジェクトを組み立てて来る中で、プロジェクトの入り口と出口を明確化すること、「女性たちの流れを作ること」は、1つの大きなポイントでした。ようやく今回、誰の目に見ても分かる形で、出口の外に出すことができました。PAEM修了生としての”誇り”を加えて輩出できたことは、とても大きな意味を持っています。

明確な入り口と出口が無い限り、当たり前ですが、一定の人だけがそこに居て、去ることもなく、ずっとそこに居残ります。私が来た当初はその状態にあり、15名ほどの同じ顔ぶれの女性たちが、長い人は8年近くもの間関係を続けている状態にありました。”女性の経済自立・起業支援”を市役所サービスとして顧客(女性たち)に提供するためには、言葉の通り「自立」、ここを去って、自分の足で歩いて行ってもらわなければいけません。その仕組みを作る必要があります。そのためには、明確に背中を押すタイミング・機会が必要でした。それは、一体何をすればできるのだろう?「もう、あなたは大丈夫。十二分に教育を受けました。もう、自分の足で歩けます。後は、他の人たちにこの機会を提供しましょう。(自分達だけで独り占めするのではなく。)」

なるほど。それは”卒業式”ではないか、と。そうか。起業家卵の育成学校だ。

これは、客観的に見ると「そりゃそうでしょ。当たり前じゃないですか。」と単純明快なことのように言われてしまいそうですが、現場にとってはコロンブスの卵。 8年近くもの間ずっと一緒に居た15名との関係を整理して、新しい顧客(女性たち)の入りを作ることは、密着した関係を持つ人たちにとっては容易ではありません。そのため、この第1回目は痛みを伴うものだと思います。だからこそ、この仕事は外部から来た人がやった方が良い仕事だと思っていました。情が入っている限り、なかなかその部分はやりにくいですから。外者だからできる、構造改革、みたいなものでしょうか。

とはいえ、「状況を知らない人が突然やって来て、勝手なことを言っている。」と言われてしまえばそれまでですから、無造作に突き付けてるわけにもいかず。関係をぶち壊さず、傷つかずに離れていくには、「ここから去っていくことにこそ価値があること」を理解してもらわう必要がありました。でしたので、そぉー・・・っとそぉー・・・っと、作って来ました。その理解までに、1年半の時間を要したように思います。
ポイントは、誰の目から見ても、=以前から8年以上も関わっている女性たち、サービス提供者(市役所スタッフ)、新しく入ってきたい女性たち、その他関係者の誰から見ても、入り口から出口までのフローが明確に作られていること。「あ、このプロセスが終わったから、終わりなんだな。」と、誰もが納得できる実感です。
これは一度できてしまうと、後は比較的簡単。新しく入って来る人たちに「1年半で、このサービスを受けるのは終わりですよ。」と最初から明言できますから、流れが生まれれば後は流れに乗って行きます。

問題は、「そんなことは知らん。」と言えてしまう8年近く居る人たちを巣立たせること。私は彼女たちに「あなた達が受けて来たサービスは、ひとり占めできるものではありませんよね?他の人たちにもその機会を提供しましょう。これからは自分のマーケットは、自分の力で探せるようになりましょう。」と、女性課スタッフに対しても同じことを何十回何十回も言い続けて来ました。最初は、ブーイング・ゴーゴーでした(汗)。市役所側も仲の良い人たちとは離れたくありませんから、「彼女はずっと昔からの大事な人なのよ!」ということになります。「はい、大事です。でも、外には同サービスを必要としている人たちがもっともっと居ます。だからここは乗り越えられるよう、頑張りましょう。誰もが納得できるフローを作るから、ちょっと待っていてね。」


そんな思いを込めて輩出した、初の18名の卒業生たち。全ての過程を終了し、「自分は起業家卵です。これからは、自分達の力で頑張ります。」との自信と誇りを持って、サンホセ市長から直々に修了証書を受け取ることができ、何とも感無量でした。彼女たち18名は、今後PAEMプロジェクトのモデルになる存在。どんな成果を上げてくれるのか、これから楽しみです。
※早速ですが、彼女たち18名は協同組合を立ち上げることにしたようです。その法人を通じて、商品を常設販売できる店舗を確保したりすると言っていました。こういう自発的な動きが生まれることが、自立支援という仕事の何よりもの醍醐味です。「新しいチャレンジは、どんどんやってちょうだい!」ですね。

ということで、また新しいメンバーたちがどんどん入ってきます。こうして人の流れがしっかり生まれれば、プロジェクトは続くはず。後は、うまく流れてくれれば本望です。市役所では向こう4カ年で、800名の新規登録、200名の輩出を計画しています。これは今のスタッフ達で計画した、とても現実的な数字です。

2011年8月29日月曜日

Mujer Empresaria: ¡Esto no es un cuento! ヨーロッパ連合制作の女性起業家支援ビデオ

プロジェクトで良く活用している女性の経済自立支援に関するビデオ。このビデオは、私がサンホセ市役所で仕事を始めて、この業界の人たちに会いに回っていた2010年2月に出会った女性起業家支援向けの教材です。ヨーロッパ連合EUの出資で、コスタリカ国(サンホセ市の隣町、エスカス市役所女性課)とデンマーク国が、”起業のための教科書”を開発し、それに付属されていました。デンマーク国の支援は2006~2008年の3年間で、1年目に2名のエスカス市役所職員(コスタリカ人)をデンマークへ研修として招き、2年目にコスタリカへの帰国後デンマーク人も入って共に教材(テキストと映像)を開発、3年目にその教材で100名の市内女性起業家へ研修を実施、というものだったそう。2008年にプロジェクトは終了していたので、私がエスカス市役所女性課の方とお話をした時は「もう終わっちゃったのよー」と言っていましたが、その100名の中からコスタリカを代表するような1名の女性起業家(ごみリサイクル事業)が生まれていることで、全国女性課の間で話題になっていました。

このビデオが、とても良くできている。最初に見た時、びっくりしたと同時に「これは使える!」と思いました。こちらはサンホセ市役所・日本国の支援ですが、あんまり良くできているので私の独断で、新しく登録に来る女性たちに必ず見せるようにしています。他国の支援で作ったものを再活用する、も、ありでしょ?と思って。せっかく作ったんだから有効活用しなくちゃ、もったいないです。

「コスタリカ国を支援しているのは、日本だけじゃないんだよね。。」と、当たり前となのですが、国際的な支援を数多く受けているこの国の中で、どのように日本としてのインパクトを出していくべきなのか、を考えるきっかけとなった、私にとっても大事な映像でした。何より私もこの「女性起業家10のステップ」、とても勉強になりました。


▼Proyecto Común URB-AL/R5-B5-03
Mujer Empresaria:¡Esto no es un cuento!
女性起業家:これは物語ではありません!(26分間)
Copyrights la Unión Europea,Diamarca y la OFIM de La Municipalidad de Escazu

*すみません、アップロードができませんでした。データ用空き容量が足りないようです。しばらくお待ちください。

 ※プロジェクト概要冊子とビデオCD

2011年8月26日金曜日

Casa927 カサ927 オシャレな女性セレクトショップオープン!

Barrio Amon地区に、女性の中小企業家向けオシャレなセレクトショップがオープンしました。Banco Nacional (Banca Mujer) の出資で、可愛い一軒家を改装したもの。中には天井の高いレストランも併設されています。素敵なおうちで、いかにも多くの外国人たちが集まりそうなデザインです。
去る8月10日そのセレモニーが行われ、ご招待を受け行ってきました。オープニングセレモニーの盛り上がりぶりは、すごかった!私まで大興奮。女性たちのエネルギーに満ち溢れていて、経済産業大臣から錚々たるメンバーが列席。この国、経済産業大臣も女性なんですね・・・、驚きました。
各部屋ごとにお店になっていて、最初の出展者(先発メンバー?)にうちのPAEMプロジェクト出身者も3名選ばれました。嬉しいです。なお、参加女性たちは基本的に1週間ごとに入れ換わります。1週間の売上結果により、継続出店できるかどうかが決まるという、結構シビアなもの。それでも、こんなオシャレなセレクトショップに自分の販売スペースを持ってるというのは、女性たちにとって大きなモチベーションになりますよね。いよいよ、フェリア脱却の(青空市場のみで販売することを脱する)機会が目の前に現れました。
是非、お買い物にお出かけください。コスタリカ土産は、Multiplazaで買うより、こちらで買いましょう。おススメします。女性たちの経済自立は、直接国の産業を盛り上げます。こういう小さい国ならでの動きのサイズ感覚は、気持ちが良いですよね。

住所:Calle 3 y Avenida 11 en Barrio Amón, Casa esquinera neoclásica color blanco a mano izquierda
Webサイト:Casa927












2011年8月24日水曜日

Café Britt Tour de Café コーヒーツアー

すみません、更新遅れました。元気です♪ また戻ります。

さて、以前もご紹介したコスタリカを代表するコーヒーブランドCafé Brittチョコレートも有名ですが、San Joséからほど近いHerediaという町では Café Britt Tour de Café コーヒーツアーに参加することができます。
私はこのツアーに参加するまで、てっきり Britt 自体が独自農園を持っていて、販売を独占しているのだと思っていましたが、違いました。Brittはブランドのみで、コスタリカ国内にある1,000件以上の小コーヒー農園を束ね、各農家さんから手摘みのコーヒーを買い上げいるという優れモノ。それなら安心。コーヒーツアーに参加すると、1時間半程度の楽しい劇?を見ることができます。コーヒーの歴史、積み方、製造方法等々、楽しく解説してくれます。
Herediaのこのお店に直接行く何よりもの特典は、日本への送料込で非常に安く買えること。340gのコーヒーまたはチョコレートの、10個パック、20個パック、25個パックがあります。安さの秘密は、「米国Miamiに工場があり、そこから直送することができるから」だそうです。

Café Britt:Webサイト
コーヒーツアー: 予約サイト
料金:20$(ランチ、交通費抜き)、39$(ランチ込み)
コーヒーパック:340gのオーガニック25個パック・日本までの送料込 $209
※私が発送した分、1週間で日本まで届きました










2011年8月18日木曜日

perdon,,,, un rato por favor.

すみません、、、ブログ更新、少しお休みします。
少々お時間下さい。すぐ戻ります。

2011年8月10日水曜日

El resultado de la venta de la Feria フェリア結果報告

先日当ブログにてご案内をさせて頂きました、8月5・6日の Parque Central にて開催した母の日フェリア2011。天気にも恵まれて、60名の女性たちの出店参加により、お陰さまで大盛況にて終えることができました。お買い物に来て下さった日本人の皆様、ありがとうございました。

女性課スタッフは、前日4日の第1回PAEM卒業式の後に深夜11時まで準備をし、声をからして一生懸命にやってくれました。(うちの課長はステージで歌まで歌いましたから。。) また今年はBanco Nacionalの協賛もしっかりついたことで、机や椅子が格段にパワーアップ。やっぱり協賛がつくと全然違うなぁ・・・。役所、ほんとお金無いから。。何が違うって、最も高いテント代がごっそり浮いた分で、ランチが充実してくれました。(涙 これはスタッフにとっては、直接的にありがたい。協賛の味をしめた役所のスタッフは、引き続き銀行が支援をしてくれるよう、どう交渉するかを今から知恵を絞っているようです。
今や課長はすっかりメディアにも慣れ、ばっちりテレビ取材・ラジオ取材にも登場していました。頼もしい限り。市議会の女性委員会の方々も総出で集まり、大満足のご様子。充実したフェリアとなりました。人がどんどん成長していく。その姿が、たまらないです。

今回の母の日フェリア2011、合計売上結果が出ましたので、この場を借りて発表させて頂きます。

8月5日(金)  ₡2.107.675 = $4.215,35
8月6日(土)  ₡2.110.350 = $4.220,70
合計     ₡4.218.025 = $8.436,05

昨年の母の日フェリア2010の2日間の売上が ₡2.053.400 でしたので、おぉ・・・実に倍以上!!Banco Nacionalの協賛担当者も、びっくり。「そんなに売ったの!?」「はい。」と、報告をする課長も誇らしげ。うん。なかなか上出来ではないでしょうか。


売上1位は、セーター屋のYahairaさん。こちらはセーターの単価が一着12.000₡前後なので、昨年に続き高い結果を出しています。
5日 ₡173.000、 6日 ₡104.000、 合計 ₡277.000 = 554$

2位は、フルーツジュース屋の**さん。(うわぁ、名前が出てこない。。後日追加。)彼女は1歳4カ月の赤ちゃんを抱えての販売。母は強し。。。
5日 ₡113.000、 6日 ₡133.000、 合計 ₡246.000 = 492$

3位は、エンジェル屋のCeciliaさん。彼女はアイディアが本当にすごくて、名刺やカード等大変に凝っています。
5日 ₡161.400、 6日 ₡69.500、    合計 ₡₡230.900 = 461,8$

今年は4位がスゴイ。粘土作りイヤリング屋のJulianさん。単価1.000₡と1.500₡でこの結果。200個以上を売りました。唖然。
4日 ₡100.000、 6日 ₡112.000、 合計 ₡212.000 = 424$

自分の作った商品が目の前で売れて行き、それが直接自分の生活費と次なる商品を制作する費用になる。彼女たちはこれで食べているんです。純粋に”応援したい”と思っています。頑張っている人は、応援しなくちゃ。みんなとっても嬉しそう。開催できてよかったです。

次回は年末にクリスマスフェリアを、同Paruque Centralにて予定しています。こちらはBanco Popularの協賛を取れないものかと、準備を始めました。うまく行くと良いですね。

※3位のエンジェル屋Ceciliaさん

※4位の粘土作りイヤリング屋Julianさん










2011年8月8日月曜日

miLenium PYME でプロジェクトが紹介されました

コスタリカのビジネス雑誌 miLenium PYME (第60号)にて、プロジェクトが紹介されました。課長が堂々と取材をこなせるようになってきているのが、嬉しいです。少し前の取材なので数字が古いですが、ご参考までに。お近くの書店にて。

雑誌名: miLenium PYME (第60号)
*PYME = Pequeño y Micro Empresaria ”中小企業”の略
雑誌サブタイトル:Promoviendo negocios ビジネスを起こす
掲載ページ: P.15
掲載タイトル: En pro de la autonomía económica de las mujeres 女性の経済自立の味方
価格: 1冊 1,000₡ (=2$、160円)




En pro de la autonomía económica de las mujeres

Bajo el lema "Contribuir al desarrollo de la microempresaria femenina como forma de reducir la pobreza para madres solas jefas de hogar o mujeres en condición de pobreza", se creó el Proyecto Autonomía Económica para las Mujeres (PAEM) dentro de la Oficina de la Mujere de la Municipalidad de San José.

La visión de esta iniciativa es beneficiar a las que viven en alguno de los 11 distritos del cantón Central de San José y que son madres solteras, jefas de hogar, en situación pobreza o bajo nivel educativo, para impulsarlas con diferentes herramientas para que emprendan sus propios negocios.

A la fecha se han profesionalizado alrededor de 250 mujeres y capacitado 36 en planes de negocios con entidades bancarias, 20 en contabilidad y 12 han participado en el taller motivacional de crecimiento personal.

La encargada de la Oficina de la Mujer, Vivian Villavicencio, comentó que en el 2007 se concretó la participación de la Agencia de Cooperación Internacional del Japón, la cual ha enviado a dos voluntarias quienes han desarrollado trabajo exitoso con diversos grupos del cantón y han consolidado la Red Comunal de Mujeres.

2011年8月5日金曜日

El servicio nuevo 4 新規事業を立ち上げる4 「予算ゼロからどう立ち上げるか」

前回、El servicio nuevo 3 新規事業を立ち上げる3 の続き。社会のニーズの高さ(上と下の両方)の確認と、ここ市役所がボトルネック、ということがはっきりした2010年3月末。調査の結果、切り込むぞ、と決めたからには、切り込みます。

確認のために書いておくと、私が狙っていたのは、「初期投資分を外部から持ってきて、その予算で実績をしっかり見せることで市役所に継続価値があることを納得させ、安心させ、以降5カ年分の継続予算と人材を役所内で確保する。そこまでできれば、継続用人材の育成は私が責任持ってやる。」という道です。


さて。切り込むにあたり、女性課の予算は一体どうなっているのだろうか?という素朴な疑問に当たります。とはいえ、あくまで私は期間限定の外国人。「予算案、見せてもらえますか?」と聞いたところで、そう簡単には、見せてくれません。どうやったら本当の意味で仲間に入れてもらえるかな?を画策してはいましたが、最初の段階は先方(市役所)も私に対する様子見状態が続いているため、なかなか具体的な数字は見せてくれません。そこで、「市役所の予算確定フローがどうなっているかを教えて欲しい。」と伝えたところ、毎年下記のようなルーティンになっていることを知りました。

2010年 1月初日 2010年度初日
2010年 5月末日 2011年度予算案を作成し、計画部へ最終提出
2010年 9月初旬 2009年度実績を元に2011年度予算案が確定、計画部より指示
2010年12月末日 2010年度〆
2011年 1月初日 9月に確定した予算案に基づいて2011年度実施開始

つまり、5月の段階で次年度丸一年分の計画を、ある程度詳細まで仮にでも決めておく必要があります。この辺りが、民間と違って全く融通が利かないところ。私が女性課に来たのは2009年11月で、かつ、最初の段階では本プロジェクトに対するモチベーションが高くはなかったため、2010年度の女性の経済自立・起業支援プロジェクトに対する予算案は、なんと私の分のjicaに支払う人件費のみ。具体的には、70,000₡x12カ月=840,000₡(=1,680$、約14万円/年間) さすがに、これでは何もできません。結果的に、立ち上げるプロジェクトへの資金集めは自分でする他ありませんでした。

更にびっくりしたのが、交通費すら出せない、という事実。2010年の初めに行った挨拶回りを初め、どう考えても交通費が必要です。私は初めのころ、自費でタクシー代を出していました。その費用を清算したいと伝えたところ、「課には専属の運転手がついているからその実費は1₡コロンも出せない。」と言われました。どおりで、タクシーに乗った際に「領収書を下さい。」と言っても「そんなものは無い。」と言われるわけだ。でも実際は、課の他スタッフと何度もバッティングをして、必要な時に必ず運転手を出せるという保証はありませんでした。足が無ければ、動けない。

結局のところ交通費に限らず、前年度5月の段階で、お金の使い道が詳細に確定されてしまっているため、計画されていないものには一切出せない、ということが分かりました。おいおい。「どうやって私は仕事をするんだろうか?日本人をわざわざ連れて来て、予算ゼロで一体何をしろと言うんだ?」と言いたくなるところをグッと堪えて、「でもせめても、予備費は設定してありますよね?その予算で執行できる費目は何ですか?」「・・・。」 つまり、予備費を執行したことは今まで一度もない、と。

私 :「ねぇ、素朴な疑問なのだけれど、使い切れなかった予算はどうなるの?」
部長:「全部一度チャラになる。」
私 :「次年度には持ちこせないの?だって見たところ、全然使ってないよね?」
部長:「ダメ。全く持ちこせない。」

ん?
予算の立て方、根本的に間違ってないか?

イヤな予感は、後に的中します。


とにかく、できることから形にしていく他ありません。
予算ゼロ。完全な人材不足。経済自立に関するビジョンも皆無。もっと言えば、モチベーションもゼロに近い。どうやら予算案の立て方も間違っているっぽい。

それでも事業は立ち上げる。

「金は、あるところから、持って来る。」 基本原則。
2010年私がプロジェクトの資金集め、早い話が営業を試みた一覧は下記の通り。

-日本大使館 草の根無償補償資金
-ドイツ大使館 小プロジェクト支援予算
-Unión Europea ヨーロッパ連合 女性支援予算
-Banco Nacional 国立銀行開発部
-PRONAMYPE (Ministerio de Trabajo/労働省)
-Micro Softo Costa Rica マイクロソフト・コスタリカ広報部
-IBM Interamericano アイ・ビー・エム中央アメリカ広報部
-BID (Banco de Interamericano de Desarrollo) 米州開発銀行

この試みを通じて分かったこと。

最終的に上記の中から「女性の経済自立・起業支援」のソフトウエア(人材育成)支援に対して、2010年に実際に執行されたのは、国内機関 Banco Nacional と PRONAMYPE (Ministerio de Trabajo/労働省)の2つによる、ビジネスクラスの全実施費用分でした。

各国大使館等の外国のお金をコスタリカ国で使おうとした場合、どこの国においても建物を建てる・大きな機械を購入することが通例であり、物理的に何かが残る=その国の旗が付けられ反永続的にそれが残ることが大事、なのだと理解しました。ソフトウエア実施例は前例が少なく、評価が難し過ぎる。特に「残りにくい。効果が目に見えにくい。」ということになるようです。特に、ドイツ大使館は非常に分かりやすく、きっぱりと「ハードにしか出せない。」と言い切ってくれました。これはこれで、分かりやすいです。ちなみに、日本大使館は日本語が通じるにも関わらず惨敗。12年前に日本で資金集めをしていた頃、省庁関係者からしきりに「ハード重視。」と言われては断られていた時代を思い出しました。(余談ですが、今では税金無駄遣いの象徴と言われてまって閉館した京都府の「しごと館」。後の開館記念講演に厚生労働省からお招き頂いて、お話させて頂いた講演者のひとりでした。私はしごと館のビジョンがとても好きだったのですが、「立派な建物も大事だけれど、中身をもっと充実させていかないと・・・」というお話をさせて頂きました。)

また大企業からの協賛を試みた点においては、コスタリカ国内にある支社はどちらもコールセンターが主のため、実際の協賛を確保するには米国まで出向いて欲しい、という話になりました。残念ながらサンホセ市役所女性課で働いている私にはそれを交渉するだけの交通費も時間もありません。せめて不要になったPCを実物で女性たちに配れないものかとも思ったのですが、それをするにも米国に行って話をつけて欲しい、ということになり、選択肢として消えました。これはさすがに仕方が無いかな。

開発銀行のBIDに関しては、Social Venture Program というあまりにもドンピシャ過ぎる予算枠があったので「これは欲しい。」と本気で取りに行ったのですが、最終的に米国を含む中央アメリカ各国の担当者をたらい回しにされた結果、最後の最後で、私が2年間しか居ることができない=2年の短期間では最後まで見きれないから出せない、という結論に達しました。この結果は、かなり踏ん張っただけあってショックが大きかったです。これは悔しかったなぁ。。

いずれにせよ、最終的に国内機関での実現となりました。これは、結果論として考えれば最高に良い結果なのではないかと思います。女性の経済自立・起業支援に関しては、国外の支援を求めるよりも、自分達の力で実現することができる・実現した方がよっぽど早い、という意味なのですから。加えて、どこの支援も取り付けていない最初の段階で投資を決めてくれた Banca Mujer (Banco Nacional) は、本当に心強い味方でした。後に、盛り上がって来てからお金を入れることを決めるのは、比較的簡単なことです。それよりも、最初の最初、まだ誰も付いていないところに出資を決めてくれるという事は、覚悟を共にしてくれるパートナーという意味ですから、大事にしなくてはけません。私はこのことを日本で心底学んでいましたから、Banca Mujer とは運命共同体だ、ぐらいに思っていました。


そんな 矢先、事件が起こります。

2010年9月に発表された2011年度女性課予算が、なんと、申請していた額から何と75%もカット。「え”?」 そして課長は泣く。「女性たちに会わせる顔が無い。どうしよう・・・!」そりゃ無いわな。。。半ば、自業自得でしょうにと思いつつ、「うーーーん。何とかするから、ちょっと待ってなさい。」とはいえ、どうするかな。「とりあえず予算案。ちゃんと見せて。何をしたいの?」「これ・・・。」 このことを機に一気に仲間に入れてくれることになるのですが・・・、そこまでカットされたら、プロジェクトの継続予算もへったくれもありません。一体何が起きているのか?

ということで、計画部の担当者に直接聞きに行く。

「女性課は、全く仕事をしていないじゃないか。予算だって、全く使い切れてない。計画しているものを実施していないんだよ。2009年度なんて、ひどいもんだ。そんなところに、出せるわけがないじゃないか。おまけにyukariが居て、外からお金を持ってくるんでしょ?だったら必要ないじゃない。今、市役所は本当にお金が無いのよ。」

・・・おいおい。(汗

しかし。決まってしまったものは、決まったもの。
とりあえず、どうにかするしかありません。
即刻、課長Vivian、秘書Rosaと私の3人で、緊急会議。何ができる?

私 :「今までは普通に予算がついていたのに、何でそこまで急に変わったの?」
課長:「今年の頭にChinchilla大統領が就任して、うちの元副市長のMaureen氏がINAMUの代表に引っこ抜かれてしまったから(この投稿、一番下参照)、女性課の政治的立場が市役所内で弱くなったんだと思う。今まではMaureen氏のお陰で取れていた分が、ごっそり削られたんだと思う。」
私 :「ということは、これからは自分達でどうにかしなくちゃいけないということだよね?他人任せにできないよね?」
課長:「・・・。」

私 :「私が外部機関から取れたのは、Banco Nacional からのビジネスクラス実施費20名分(80時間)と、PRONAMYPE(労働省) からのビジネスクラス実施分40名分(60時間)。多分この流れから考えると、競合にあたる Banco Popular は取れると思う。けど、それらは全て研修実施費であって、他のもの(会議実施時の食料費や、フェリア実施費、印刷費、その他の研修費等)は無いよ。」
課長:「とにかく、最低でもフェリア実施分は確保しないとまずい。PAEM以外にもプロジェクトはいくつもあるし・・・。」
その時、秘書Rosaが素晴らしい指摘。
秘書:「とりあえず、市議会の女性委員会 Comisión de la situación de la Mujer に課長が直訴に行くしかないでしょう。そこで市役所予算が決まるのだから。」
課長の目が変わり、その場で委員長に電話。
課長:「話があります。事件です。」
翌日、彼女はその委員会に直訴に行きました。

こうなってくると、流れは一気に良い方向に向きます。
そうこなくっちゃ。 :-)


続きはまた次回。

2011年8月3日水曜日

Romería a Cartago ロメリア カルタゴ巡礼

8月2日は、コスタリカのカソリック教徒にとって大切な日。Romería a Cartago ロメリア カルタゴ巡礼が行われる日で、家からカルタゴのマリア様が祀られているロス・アンヘルス大聖堂まで歩いていきます。遠い人はニカラグアからも歩いてくるとか。1~2日にかけてカルタゴまでの一般道路は、人・人・人・・・で溢れ返ります。
今年は私も、家からCartagoまでの20kmを歩きました。1日夜8時半に家を出て、2日午前2時頃に到着。5時間半コンクリートの上を歩くのは、山登りと違って足がとても痛くなりました。現地に着くと、長旅を終えて毛布にくるまって寝ている人で道が。。私は、大聖堂でマリア様にコスタリカに来れた事のお礼を伝えた後、聖なる水を汲み、ネグリータにお礼を伝えて、早朝バスに乗って帰ってきました。
国が神聖なものを持っているというのは、とても良いことなんだなと、何と言うか素直に感じました。老若男女を問わず、ベビーカーを押している人・赤ちゃんを抱っこして歩いている人・車椅子の人・・・、皆がマリア様に感謝とお祈りを捧げに大聖堂まで歩いて行く。日本で言う、初詣見たいなものでしょうか。私もお礼を伝えることができて、良かったです。