2011年8月31日水曜日

Primera Graduación del PAEM 第1回PAEM卒業式

さて。去る8月4 日午後2時より、Primera Graduación del PAEM 第1回PAEM卒業式が行われました。サンホセ市長のJohnny Araya氏(←次期大統領候補と言われている。)、サンホセ市議会の女性委員会委員長、銀行関係者・省庁関係者・プロジェクトの先生方、その他プロジェクトに関係している人たちが一同に集まり、記念すべき会となりました。

2009年11月にこちらに来てからプロジェクトを組み立てて来る中で、プロジェクトの入り口と出口を明確化すること、「女性たちの流れを作ること」は、1つの大きなポイントでした。ようやく今回、誰の目に見ても分かる形で、出口の外に出すことができました。PAEM修了生としての”誇り”を加えて輩出できたことは、とても大きな意味を持っています。

明確な入り口と出口が無い限り、当たり前ですが、一定の人だけがそこに居て、去ることもなく、ずっとそこに居残ります。私が来た当初はその状態にあり、15名ほどの同じ顔ぶれの女性たちが、長い人は8年近くもの間関係を続けている状態にありました。”女性の経済自立・起業支援”を市役所サービスとして顧客(女性たち)に提供するためには、言葉の通り「自立」、ここを去って、自分の足で歩いて行ってもらわなければいけません。その仕組みを作る必要があります。そのためには、明確に背中を押すタイミング・機会が必要でした。それは、一体何をすればできるのだろう?「もう、あなたは大丈夫。十二分に教育を受けました。もう、自分の足で歩けます。後は、他の人たちにこの機会を提供しましょう。(自分達だけで独り占めするのではなく。)」

なるほど。それは”卒業式”ではないか、と。そうか。起業家卵の育成学校だ。

これは、客観的に見ると「そりゃそうでしょ。当たり前じゃないですか。」と単純明快なことのように言われてしまいそうですが、現場にとってはコロンブスの卵。 8年近くもの間ずっと一緒に居た15名との関係を整理して、新しい顧客(女性たち)の入りを作ることは、密着した関係を持つ人たちにとっては容易ではありません。そのため、この第1回目は痛みを伴うものだと思います。だからこそ、この仕事は外部から来た人がやった方が良い仕事だと思っていました。情が入っている限り、なかなかその部分はやりにくいですから。外者だからできる、構造改革、みたいなものでしょうか。

とはいえ、「状況を知らない人が突然やって来て、勝手なことを言っている。」と言われてしまえばそれまでですから、無造作に突き付けてるわけにもいかず。関係をぶち壊さず、傷つかずに離れていくには、「ここから去っていくことにこそ価値があること」を理解してもらわう必要がありました。でしたので、そぉー・・・っとそぉー・・・っと、作って来ました。その理解までに、1年半の時間を要したように思います。
ポイントは、誰の目から見ても、=以前から8年以上も関わっている女性たち、サービス提供者(市役所スタッフ)、新しく入ってきたい女性たち、その他関係者の誰から見ても、入り口から出口までのフローが明確に作られていること。「あ、このプロセスが終わったから、終わりなんだな。」と、誰もが納得できる実感です。
これは一度できてしまうと、後は比較的簡単。新しく入って来る人たちに「1年半で、このサービスを受けるのは終わりですよ。」と最初から明言できますから、流れが生まれれば後は流れに乗って行きます。

問題は、「そんなことは知らん。」と言えてしまう8年近く居る人たちを巣立たせること。私は彼女たちに「あなた達が受けて来たサービスは、ひとり占めできるものではありませんよね?他の人たちにもその機会を提供しましょう。これからは自分のマーケットは、自分の力で探せるようになりましょう。」と、女性課スタッフに対しても同じことを何十回何十回も言い続けて来ました。最初は、ブーイング・ゴーゴーでした(汗)。市役所側も仲の良い人たちとは離れたくありませんから、「彼女はずっと昔からの大事な人なのよ!」ということになります。「はい、大事です。でも、外には同サービスを必要としている人たちがもっともっと居ます。だからここは乗り越えられるよう、頑張りましょう。誰もが納得できるフローを作るから、ちょっと待っていてね。」


そんな思いを込めて輩出した、初の18名の卒業生たち。全ての過程を終了し、「自分は起業家卵です。これからは、自分達の力で頑張ります。」との自信と誇りを持って、サンホセ市長から直々に修了証書を受け取ることができ、何とも感無量でした。彼女たち18名は、今後PAEMプロジェクトのモデルになる存在。どんな成果を上げてくれるのか、これから楽しみです。
※早速ですが、彼女たち18名は協同組合を立ち上げることにしたようです。その法人を通じて、商品を常設販売できる店舗を確保したりすると言っていました。こういう自発的な動きが生まれることが、自立支援という仕事の何よりもの醍醐味です。「新しいチャレンジは、どんどんやってちょうだい!」ですね。

ということで、また新しいメンバーたちがどんどん入ってきます。こうして人の流れがしっかり生まれれば、プロジェクトは続くはず。後は、うまく流れてくれれば本望です。市役所では向こう4カ年で、800名の新規登録、200名の輩出を計画しています。これは今のスタッフ達で計画した、とても現実的な数字です。