2011年6月29日水曜日

Billete Nuevo 新札紙幣

紙幣が新しくなりました。新札のお金は、ちょっと嬉しい。色がとっても綺麗。今回から20,000₡札、50,000₡札ができました。1,000₡札は、顔のところが透明になっていて、向こうが透けて見えます。2011年7月現在流通している新札は、1,000₡札、2,000₡札、20,000₡札の3種類です。
以前のお金はこちら、まだしばらく使えます。








2011年6月27日月曜日

a las 4 定時4時の世界

前回「Madre Soltera シングルマザー国家?」の続き。

国連の人間開発報告書における女性のエンパワー指数2009は、コスタリカは世界で27位、日本は57位。こと“女性の経済自立支援”の領域に関しては、日本より遥かに進んでいると感じています。どうやら私は、基本的に古風な考え方をしているようだと、気付かされました。同僚や友達から「あんたの考え方は2時代ぐらい前の話。今は21世紀よ!目を覚ましなさい!!」と、良く言われます。

コスタリカでは”女性の社会進出”と敢えて言う必要もない程、女性と男性が普通に一緒に働いています。その第一の理由は、女性も働かないとやっていけない(ほど貧しい)、という現実があるからなのですが、私の目から見れば、それはとても自然な姿のようにも見えます。“世の中、男性と女性は半数ずつ。だから、仕事の現場でも半数ずつ存在している。それだけのこと。” この国においてこのことは、大変に単純で、明快です。それに働く女性達がとても可愛く元気です。さすがラテンの国。


さて、そんな彼女たちと日ごろ仕事で接していて、彼女たちから良く言われることがあります。

私は日本人で30代後半。子どもも居なければ、結婚もしていません。「なんで、子どもも持たずに、こんなところで仕事をしているんだ?」と言われる覚悟は、ある程度していたのですが・・・、彼女たちから見ると私は”全くもって計画的ではない人生。”ということになってしまうようです。
日常の会話の中で「子どもは欲しくないの?」と聞かれる機会があります。そこまで深く考えずに、「いずれはね、」なんて答えた日には、もう大変。「だったら、父親はいいから、とにかく先に子どもを生みなさい。」と言われます。結婚(というより、旦那)より子どもが先だ、と言われます。私自身は、子どもは欲しいと思っていても、先に子どもだけが欲しいという考え方は持ち合わせていないため、この”計画的でない”私に対して、”早くしないと産めなくなるから、誰でも良いから、調達して来なさい。”と、大変に具体的なアドバイスをして下さいます。ものすごいリアリティーを持って。。

このような時、どちらが良いとか悪いとか、そのような考え方は非常にナンセンスだと私は思いますが、”どうやら私は古い考え方をしていたのかもしれない。。”と気付く瞬間ではあります。日本で当たり前だと思っていたことは、世界で当たり前ではない。そう、気付かされる瞬間です。


その一方で、そんな私が”素敵だなぁ”と感じるご家族と出会ったのも、ここコスタリカでした。本ブログに何度も登場しているBanca Mujer 女性銀行の、現場責任者のご家族。ここは、私が”素敵だな”と感じるご家族の1つです。もしかしたら、コスタリカでは珍しいケースかもしれませんが、大学時代19歳の時に出会った方と結婚し、小学生の2人の子どもがいて、今もずっと一緒に暮らしています。38歳の彼女は「人生の半分以上を彼と一緒に居るのよ。」と教えてくれました。一方で、彼女は仕事もバリバリ、何せ一銀のトップです。日本でなら、もしかしたら”仕事と家庭の両立!”なんてタイトルで紹介されているのではないかと思うほど、がっつり仕事をしつつも、子どもも2人、しっかりとした家庭もある方。もちろん、その実現のためには、不断の努力で築いて来られた家族間の信頼関係があるからこそ、とは思うのですが、その秘密の1つは「定時4時の社会」ではないか?と私は考えています。

この国の定時は4時。市役所・銀行を初め、本当に4時に仕事が終わって、全員がさっさと帰ります。残業なんて、相当なことが無い限りしません。社会全体が4時に終了。これは日本人の私の目から見ると、すごい世界です。最初の頃は「え?もう4時?いや、仕事は今からでしょ。。」とか、「よくそれで社会が回るな・・・。(汗」と思っていましたが、全員で足並みそろえて4時におうちに帰る社会には、一銀行のトップであっても、家に帰って一緒にご飯を作って一緒に食べることもできる、そういう世界が広がっているように思います。そして夜9時には町中が寝静まる。なんて健全な国なのでしょう。。嘘のようですが、本当の話です。私はこの点については、とても良いことと感じています。正直、4時定時の世界は、かなり羨ましく感じています。(私にとっては4時に仕事が終わってくれると、ものすごく身体が楽で、非常に助かります。)


家族の在り方は千差万別。一概に、どの形が良い、とは言えません。それでも、男性も女性も共にしっかり働くことができ、希望すれば子どもも持てて、安心してしっかり育てられる家庭を持てる社会は、1つの理想の形ではないか、と感じます。

日本とは異なる環境(シングルマザーだらけ、女性の大統領、定時4時・・・)に身を置くことで、別の角度からの刺激を受け、自分にとっての”当たり前”は「全然そうではない。」と気付くことができます。どれが良いとか悪いという話ではなく、結局は、「自分にとってはどうか?」を考える、きっかけをもらっているのだと思います。様々な考え方に触れることで、色々な角度からモノが見れる人になれたら、と思います。

2011年6月24日金曜日

Renova el Café de T.N. 国立劇場カフェ・リニューアル

少しゆっくりしたくて、音楽を聴こうとTeatro Nacional(国立劇場)に来ました。待ち時間に併設Café に入ると、メニューと制服、営業時間がリニューアルされていました。今晩は、ラザニアと温かいココア。このTeatro Nacionalで音楽が聴けるのも、こうしてTeatro Nacional Caféでコーヒーが飲めるのも、あと少しと思うと、既に名残惜しい気持ちになってきます。

営業時間:Mon.-Sat. 9:00am-7:00pm (日曜日休み)













2011年6月22日水曜日

Madre soltera シングルマザー国家?

本日は、少し視点を変えたところから。

市役所女性課で女性の経済自立・起業支援の仕事をしていると、”女の人生”というものを考える機会と、多々遭遇することになります。私は元々、若者たちの自立支援をしてきたため、正直、女性問題については全くのど素人です。もしかしたら、見当違いなことを書いてしまうかもしれませんが、この現場で仕事をしながら感じていることを、次回との2回に分けて、少し素直に書いてみたいと思います。


プロジェクト対象者の女性たちは、シングルマザー、世帯主女性や教育レベルの低いとされている女性たち。特にこの国は、シングルマザー国家?と感じるほど、シングルマザーだらけの国です。しかも、父親の異なる2人・3人の子どもを平気でシングルで育てている。ものすごい逞しさを感じると同時に、「女は強い・・・(汗)。。」と、感じざるを得ません。正直、完全にタジタジです。。

なぜ、ここまでシングルマザーが多くても、社会の中でやっていけるのでしょうか?
今回は、先日文化人類学専門の方からお聞きした内容と私が日ごろ市役所で働いていることで見ている状況を併せて、お伝えしたいと思います。


1、人的なセーフティーネットの存在
子どもの父親と別れても「ここで暮らせば良いから、帰っておいで。」と言ってくれる居場所があること。確かに、この国の多くのシングルマザー兼世帯主女性は、実家に帰って親(特に母親)と暮らしているケースが目立ちます。私もこの国に来て初めに行った調査の際に、対象女性たちの多くが古くからの”持ち家”に住んでいるため、家賃を支払う必要が無い経済状況に置かれていることを知って、少し驚きました。土地もあるし家もある。更におばあちゃんは、「帰っておいで。」と言ってくれる。子どもを抱えて一人暮らしをしている、というケースはほとんど見かけません。それは、まだ貧しい、という点もあるのかもしれません。家族で肩を寄せ合って暮らしている感がありますが、それは別の見方をすると、人的セーフティーネットがある、と言って良いのかもしれません。



2.社会的なセーフティーネットの存在
この国には、日本には無いいくつかの特徴的な仕組みがあります。その前に、コスタリカは中南米特有の男性権威主義(マチスタ)が強く残っている国であることを、先に明記しておきたいと思います。

1)女性の政治参画が盛ん
以前も少し書きましたが、昨年2010年5月に行われた総選挙で選ばれた今のコスタリカ国大統領は、50歳の女性 Laura Chinchilla氏。それだけではなく、総議員57名のうち22名が女性で、約39%が女性議員です。この割合は、列国議会同盟(IPU)184カ国中10位に位置します。国際的に見ても、コスタリカの女性の社会参画、特に政治参画は、大変進んでいると言えるでしょう。政治的な部分で女性がとても活躍しているという点は、社会的なセーフティーネットが生まれる土壌が整っている、と言えるかもしれません。

2)国立女性研究所と女性課
コスタリカには、INAMU (Intituto Nacional de las Mujeres) 国立女性研究所という国の研究機関があります。そして、そこからのトップダウンで全国の全市役所に「女性課」が設置されています。つまり、市ごとに逃げ込み場所が(まがいなりにも)整っています。”何かあったら、女性課へ”。

3)親権責任法
マチスタが残るコスタリカにおいて、国教がカトリックで中絶が認められていないため、父親のいない子どもが大変多く存在しています。2002年に生まれた新生児のうち、約50%が婚外子であったという統計もあるほどです。この”父親のいない子ども”を防ぐために、2001年に「親権責任法」なる法律ができました。これは、認知をしない父親と話し合い、それでも解決しない場合は国費でDNA鑑定を行うことで、子どもに名字と養育費を与える事を定めた法律です。ラテンアメリカにおいて初めて、子どもに必ず父親と母親を持たせるための法律として設立されました。
1, 母親は父親を指名できる。
2, 指名された父親は2週間以内に異議申し立てができる。
3, 母親と父親の意見が食い違う場合は、国費でDNA鑑定がなされ、最終的に父親が確定する。
この法律が施行されて以来、状況はずいぶんと改善されたそうですが、指名された父親が異議申し立てをする率はわずか8%と言われています。この数字は何を示しているのでしょうか?つまり、”異議申し立てをして来ないことを前提に、女性側が申請をする”ということです。結局のところ、申請への調査がなかなか進まないことや、申請をすることで暴力をふるわれることを恐れた女性が申請しづらいことなどが問題として存在し、申請まで行かないケースが大多数。それでも、誰が父親なのかをはっきりさせ、養育費を支払わせるための法律が存在しています。
実際、当市役所女性課に来る女性たちを見ていても、父親が明確になっていない子どもを持つ母親も居ます。また何よりも、父親が誰か分かっていたとしても養育費を受け取っていないケースが(今のところ)目立ちます。浸透するにはまだ時間がかかりそうです。


3.社会的なメンタリティーの存在
何よりも、これだけの数のシングルマザーが居る。コスタリカは日本ほど、他人や社会の目を気にする風習はありませんが、それでもこれだけ数が居れば、"シングルマザーは珍しくない。自分も何かあれば・・・。"という社会的なメンタリティーが、明らかに存在しているように思います。


この2つのセーフティーネットの存在と社会的なメンタリティーは、異なる父親の子どもを複数抱えるシングルマザーを守る環境が、完全とは言えないにせよ、日本と比べれば比較的整って来ている、と言って良いのかもしれません。

一方、変な話ですが、離婚する家族を見ていると、父親側が少し気の毒に感じることもあります。父親側が子どもの養育権を取ろうと思っても、この国ではそれはとても難しいように思います。以前、「コスタリカには女性課はもう良いから、男性課が必要だ。」と誰かが言っていたのを聞いたことがあります。実際、「確かにそうかも。。」と感じることも、今まで何度かありました。女が表面的にも強い世界というのは、日本で当たり前と思っていた世界観とは随分異なるようです。


続きは次回

2011年6月20日月曜日

El servicio nuevo 2 新規事業を立ち上げる2 「立ち上げ(創業)係と継続係の役割分担」

さて。前回「El servicio nuevo 1 新規事業を立ち上げる1」の続き。

なぜ私は、市役所の中で新規事業を立ち上げることが、様々な意味で、現場が必要としているソーシャルサービスを一早く実現できるのではないか?、と考えていたのか。2つ目の理由は、”市役所職員は、基本的にルーティンワークが得意なはずでは・・・?”、と考えていたからです。


私は日本で、とても小さな非営利会社を自分で立ち上げ、10年間運営してきました。その時、新しい事業(ソーシャル・サービス)を生みだし継続していくためには、大きく分けて2つのフェーズがあることを常々感じていました。

1.ゼロからイチを生みだすフェーズ 【創業フェーズ】 と、
2.イチをジュウにするフェーズ 【継続フェーズ】 です。
(3.ジュウをヒャクにするフェーズ 【拡大フェーズ】 もあると思います。株式公開?とか?)

この各々のフェーズでは、様々な意味で、全く異なる能力の人材が必要になると思います。近しい能力の人同士ではなく、全く異なる能力を持った人が集まった方が、新しいことを生みだせる。創業(立ち上げ)フェーズに必要なのは、社会に対する大きなビジョンと、”えいや!”で生み出すエネルギー。 立ち上げた後の継続フェーズでは、決めたルールに則ってルーティンワークを続け、その中でプロジェクトの本質を見失わずに更なる改善ができる力。その両方のタイプの人間が居なければ、新規事業を生み出し、その事業が継続されることはない、と学んで来ました。


私は、どちらかというと(というより・・・完全に)立ち上げ屋です。全く何もない荒野の中から、社会で必要とされていることは何か?を考え、今”ここにあるもの”で実現できるサービスを考え出し、一定の規則性を見出して「仕組み」を作り出すことが、得意です。かけるエネルギーはとても大きいけれど、”生み出すこと”を得意としています。

一方、市役所職員は(どちらかと言えば)ルーティンワークを得意とする人たちが集まっているように感じます。彼らは、一度しっかりと枠組みが決まってしまえば、それを続けていくことに、そこまで大きな抵抗を感じていないように、少なくとも私の眼にはう映ります。それは、事業継続において、とても大事な能力だと私は思うのです。うちのようなベンチャー組織には、なかなかこういう人は入って来てくれませんから、逆にとても貴重な能力だと感じていました。ずっと続けてくれるのですから。

そのため、「これはひょっとすると、良い役割分担になるのではないか?」と考えていました。大雑把に言ってしまえば、私は立ち上げ(創業)係、市役所スタッフは継続係。もしこの役割分担がうまく作用すれば、きっと社会が必要としている”女性の経済自立・起業支援”の新しい仕組みを生みだせるに違いない。そんな希望と期待を持っていました。何より、私の仕事は2年間の限定契約。尚更、私が居なくなったと同時に、話が終わってしまった、では私がここに来た意味がありません。私が居なくなった後も継続する「仕組み」を作ることは、とても大切なことだと考えていました。

もちろん、それを実現させるためには、私にはいくつかの「責任」があると考えていました。それは、彼らが”これは継続するだけの価値がある”と素直に思え、それを彼らが大きな困難を感じずに継続できる仕組みとして残す必要がある、ということでした。困難を感じずに継続できる「仕組み」とは、その誰にでも分かりやすい、継続のために必要となる予算・人材・業務フロー・ツールを揃える、ということです。これはもちろん大仕事です。


とはいえ、日本のソーシャルベンチャーの人間が、地球の裏側コスタリカの市役所に飛び込んだのですから、事はそんな簡単には運びません。運ぶわけも、ありません。散々、ジタンダ踏みました。恥ずかしげもなく、大騒ぎもしました。
それでも幸いなことに、女性課スタッフ一同と共に、ほぼゼロから立ち上げて来たこのプロジェクトは、2011年5月、無事市役所の市長直属重点5カ年計画に正式に組み込まれ、少なくとも2016年まで市役所直轄のプロジェクトとして継続されることが決まりました。実を言うと2010年に、プロジェクト予算の外部からの資金調達に失敗し続け、”お先真っ暗”になったこともありました。でも、他銀行や省庁が「それは大事なプロジェクトだ。」と最初の初期投資分を確保してくれたことで、走り出すことができました。とはいえ私の計画では、初期投資分を外部から持ってきて、継続予算分を市役所内で確保するよう動いていたので、継続予算が確保されなければせっかく立ち上げたものも続きません。それでは意味が無いのです。でしたので、この市役所重点5カ年計画に組み込まれた時=5カ年間の継続予算が確保された時は、「受け入れてくれて、ありがとう。。」という気持ちと、正直”ホッとした・・・。”という安堵の気持ちでいっぱいでした。

スタッフ達とは「ここは譲れん。」「あんたのスペイン語じゃ何を言っているのか分からん。」と散々ぶつかりもして来ましたが、一切の後腐れなく率直に何でも言い合えるところは、スペイン語世界の良いところだと思います。日本人の私からすると、会議の場では「そこまで言っちゃって良いわけ?」と思うくらいズケズケ言い合います。それでも、すっきりさっぱり。建設的な話し合いのためには、一旦全部の考えを出し合う必要がある、という感覚すら得ます。その裏には、明確な指示系統が存在していたのですが・・・(そのあたりは、また後日。)、とにかく、仕事の進め方としても、とても勉強になりました。スタッフに恵まれ、とても良いチームができたと思います。一緒に仕事をしていて楽しいです。

この事業作りのプロセスについて、これから少しずつ書いていきたいと思います。(この続きはこちら

2011年6月17日金曜日

Las capacitaciones 1 経済自立のための研修1

女性の経済自立・起業支援の仕事を、市役所女性課でしています。本当は、事業を構築してきた順番に書いていくのが良いと思うのですが、今、目の前で起きていることを、生のまま書いていくことも大事だと思ったので、今回は少し話が飛びます。
私は基本的には超現場の人間です。「大事なことは、全て現場にある。」と考えています。そして、私がこの国の底力を圧倒的に感じるのが、この「研修」の場に立ち会っている時です。今日はその事を少し書きたいと思います。


具体的にお伝えしたいので、まずはざっと大枠を説明します。早い話が、このプロジェクトが解決すべき課題は、「普通のおばちゃん達、如いては、シングルマザーや教育レベルの低い女性たちに、如何に自分で稼いで食べて行く力を付けさせるか。」につきます。そのために、私はまず初めに、プロジェクトに3本の柱を立てました。

1.情報提供 Información
2.研修    Capacitación
3.販売機会 Promoción

そして、2本目の柱「研修」に、以下の5つの機能(クラス)を持たせました。

1)ビジネスクラス        Curso de Negocio
2)価値クラス          Curso de Valoes
3)お金との付き合い方クラス Curso de Finanzas Sanas
4)自尊心クラス         Curso de Auto Estima
5)法人登記・税金のワークショップ Taller de Registro de Negocios

※本当は6つ目として、「家族のクラス  Curso de Familia (家族計画や、家族間の関係をいかに良好に保つかを学ぶクラス)」 もあったのですが、予算の関係上カットになりました。

女性の経済自立・起業支援において研修機能を充実させたことは、必須であり、必然でもあります。なぜなら、長期的な国の成長を考えれば、人の成長=人材育成=教育が最も大事だ、という通説に則ったからで、同時に、それはまさに「ここがコスタリカだったから」比較的容易に実現した、と言えると感じています。


教育という点については、コスタリカ国に来たことは、本当に有利だったと思っています。というより、そのことを見込んでこの国に来た、というのが本音です。
女性の経済自立という仕事においては、「勉強なんかどうでも良いから、すぐにお金になる場を考えてくれ。」と言われるのが筋とされるような現場でもあります。事実、彼女たちを相手に経済自立・起業支援をするには、現金を獲得する現場を提供することは、それはそれでとても大事なことです。本プロジェクトではその部分を、3つ目の柱・販売機会 Promoción にて行っていますが、それはあくまでも現金獲得の練習をする場であって、参加女性たちは最大3回までしか参加できないようにしてあります。=その後は自分で販売機会の場を見つけ出してください、という意味です。

(前にも少し書いたような気がしますが)私は6年前にこの国コスタリカを訪れていて、元大統領の奥様・国会議員の方と会談したことがありました。私は日本で若者たちの自立支援の仕事をしていたため、お会いした際は、主に教育に関するお話をさせて頂いたのですが、「随分、教育熱心な国だなぁ・・・。」というのが何よりもの私の第一印象でした。それもそのはず、この国は1949年には軍隊を全面廃止して、1983年には永世中立国宣言をした国です。1949年に軍隊を放棄して以来、軍事費ゼロ。その費用を教育費として活用している国。国家予算3分の1を教育費に充てており、国民の識字率は97%を超える、超教育大国なのです。小さな国が生き残るために採った選択は、「軍隊を捨てて、人間を育てる。」でした。そんな純粋すぎる思想に、当時は強い感動を覚えたものです。

でしたので、私はこの国に来る前から”コスタリカは教育に重点をおいている国”ということを知っていました。そのため、初等教育の現場にも強い興味を持っていました。「捨てた軍事費で造った教育現場とは、一体どんなものなのだろう?」と。その答えは、この女性たちと接している時に常々私が感じることにあるのではないかと、思っています。つまり、やたら勉強好きなのです。

それも、一部の勉強好きな人だけではありません。女性課に集まってくる女性たちが、勉強すること・知識や知恵を付けることが、本当に好きであり、それが生き残るために必要なことだということを、良くよく理解していると感じます。数時間に及ぶクラスを、一睡もせずにしっかりと耳を傾けて、一言たりとも漏らさないの意気込みで話を聞き続ける「力」があります。私はこのことに、毎日驚かざるを得ないのです。日本だったら、20名居るクラスであれば数名寝ているなんて光景は、良くあるような気がします。挙句、私の勝手なイメージだったのかもしれませんが、中進国・途上国の人はあまり勉強が好きではない、というより、長時間に渡る集中力はそこまで望めない、と思っていたのですが、この国ではそうではないのです。

挙句、この女性たちの中には70歳を超えたおばあちゃまも何人も居ます。その年になって、ビジネスプランの作成方法をゼロから学んでいます。「私は今まで、こういうことを学ぶ機会を得ることができなかった。」と言うのです。信じられますか?70歳を超えた人がビジネスを学び、自分の手で稼いで生きて行きたい。私はそんな人たちを素直に尊敬したいと思うし、できる限りの応援をしたいと思うのです。

私はこういう場面に立ち会った時に、本当の国の底力というものを感じるような気がしてなりません。新しいことを学びたい・経済自立をしたいという意欲を、末端の人間までもが持っている。立派な政策提言よりも、ずっと説得力があるのではないでしょうか? もちろん、褒めちぎるつもりは一切ありません。どの国にも、良い面・悪い面があると思います。この国でも、嫌な事やできない事も、もちろんたくさんあります。しかし、こと、この点については、日本より優れている点ではないかと、感じるのです。


5クラスの詳細は、次回より。

1)ビジネスクラス        Curso de Negocio
2)価値クラス          Curso de Valoes
3)お金との付き合い方クラス Curso de Finanzas Sanas
4)自尊心クラス         Curso de Auto Estima
5)法人登記・税金のワークショップ Taller de Registro de Negocios


※研修風景




2011年6月15日水曜日

El servicio nuevo 1 新規事業を立ち上げる1 「公共機関の中で新規ソーシャルサービス事業を立ち上げる」

私がサンホセ市役所女性課に到着した2009年11月。その時点では女性の経済自立・起業支援に関するプロジェクトは、ほとんど皆無の状態にありました。その名の元に15名前後の女性たちが集まってはいましたが、経済自立という言葉とは程遠い状態。正直な感想を言ってしまうと、第一印象は「お友達クラブ」でした。女性課は心理学者と社会学者の人たちで、ビジネスに関する知識や感覚はほとんど持ち合わせていません。市役所にとってお客様にあたる市民と、お友達として関わりを持つことは決して悪い事だとは思わないけれど、女性課が設立された8年前からほとんどメンバーも変わることなく、新しい人たちが入ってくるような空気もなく。この状態は市役所としての姿か?と考えると、残念ながら、大きな疑問がありました。とはいえ、突然やってきたしかも外国人が「この友達クラブは解体しましょう。」と言ったところで、聞いてくれる訳もなく。

女性課というもの自体は、8年前に INAMU (Intituto Nacional de las Mujeres) 国立女性研究所という国の機関がトップダウンで全国88か所の市役所に設立したものです。当初は主に、ドメスティック・バイオレンス(家庭内暴力)の女性たちをサポートするための機関として設立されました。そこから徐々にサポート業務が増え、女性の政治参画に関するサポートや乳がん予防キャンペーン、今では未成年女性(特に12・13・14歳の子どもたち)の妊娠問題に対応するためのサポート業務も持っています。その流れの中で、「女性たちを経済的にも自立させていくサポートができないか。」という流れが出て来ました。しかし、先述の通り全国にある女性課に居るのは主に心理学者や社会学者。ビジネスや商売の人間はいないため、日本国政府にその支援を頼もうということになったようです。そこに私がやって来ました。


しかし実際に2009年に現場で仕事を始めて感じたことは、経済自立うんぬんの話の前に、とにもかくにも「人手が全く足りません。」ということでした。明らかな人材不足。考えてもみれば、人口45万人のサンホセ市の女性に関する問題を全てこの市役所女性課で解決しなくてはいけない。毎日のように、様々な問題を抱えた女性たちが市役所女性課には流れ込んできます。やれ、「子どもを置いて男に逃げられた、どうすれば良い?」「親の介護で疲れ果てて、生きる希望が持てない」「乳がんの手術で胸を失くして悲しくて仕方が無い、もう死にたい」・・・。にも関わらず、それを2009年当時はたった2名(1名の課長+1名の秘書)で捌いて(さばいて)いる状態でした。そのため、名目上、「私を呼んだ理由の、女性の経済自立についてはどうしますか?」と聞いたところで、「それどころではない。」というのが当初の市役所スタッフの本音だったように思います。「猫の手も借りたいから、国籍関係ないから手を貸して。」という感触すら受けました。挙句にここは、pura vida のコスタリカです。日本のようにあくせくは働きません。上から降って来て捌ききれなければどうなるか。その問題は、誰も手を付けづに放置されるだけです。

参ったな、と。

でも、「せっかくこんな遠くまで”女性の経済自立・起業支援”の責任者・専門の人間として、わざわざ日本からやって来たのだから、ある程度の形=仕組みは残したい。」と思うのが人間の性。それをエゴだと言われようが構わない。それが私の仕事だし、私はそのミッションで呼ばれてこの場所に来たのだから、達成するしか道はない。なので私は最初の段階から、市役所内の新規事業として女性の経済自立・起業支援のプロジェクトを立ち上げることが私の仕事だ、と腹をくくることにしました。きちんと市役所の中で受け入れられ、「これこそが求めていたプロジェクトの形だ!」と言われるものを残そう、と。


市役所の中で新規事業として立ち上げよう、と思ったことには、実はいくつかの理由があります。

まず1つ目。私は日本で、省庁(厚生労働省・文部科学省)の各種委員会委員を6年間務めさせて頂いていました。その仕事を通じて、「国がいくら良い政策を作ったとしても、それを現場に落とすのは本当に難しい。」ということを、目の当たりにして来ました。委員会の仕事は多岐に渡っていますが、その中に、”数十億円単位の予算を元に、とある問題解決をするべきテーマを実施する企業や団体を全国各地から募集し、各企業・団体から提出された企画書を委員会内で審議をしたうえで、予算(主に3年単位)を配分=投資する実施会社を審議・決定し、その経過・結果を評価する。”という仕事も多くありました。審議に通れば、その会社は約3年間の国の予算が保証されるため、様々な情報が交錯している場でもあります。しかし、それにしてもその実施は本当に難しい。なかなか思うようには行きません。「こんなに躍起になって、各会社が予算獲得を目論んでいるのに、実際に本当に正しく市民にその予算が使われているのは、一体どれほどなのだろう?」生意気かもしれませんが、私の眼にはそう映る場面が何度もありました。何というか、市民のかゆいところに手が届くようなサービスを実行できる団体・会社が、あるようで、なかなか無い。(結果的に、国家予算の請負団体・会社は、一部の特定会社に集中しがちになります。)

それで、ふと冷静に考えてみたのです。私のようなソーシャルベンチャーの人間ならば、そもそも市役所という市民に最も近い公共機関の中に入って、新規事業としてプロジェクトを立ち上げれば、話が単純且つ早いのではないか?と。日本では、公共機関というものは常々同じ業務をずっと続けているイメージが強く、ベンチャー的に新サービスを生みだす事はあんまり盛んではないのかもしれませんが、(とはいえ、日本も随分変わって来ていると思いますが・・・)、そういう試みをやってみても良いのではないか?と思ったのです。ならば、せっかくやるなら異国の地で、まっさらな状態から立ち上げてみたい。新しい言葉も勉強したい。そんな気持ちが、次の自身の成長ステージは海外だ、と向かわせたのだと思います。(なぜコスタリカ国なのか、については後述。)

そのような背景があったため、市役所の中で、市民の顔を直接見て、市民と直接話をしながら、国の政策や方向性を確認し、その両方をすり合わせていくことが、ここでの私の仕事と認識し、2009年11月から市役所女性課で仕事を始めました。


2つ目の理由は次回El servicio nuevo 2 新規事業を立ち上げる2 「立ち上げ(創業)係と継続係の役割分担」


※女性課課長Vivian コスタリカ大学出身の、実はものすごく頭の良い課長。普段は超pura vida。


※女性課秘書Rosa 市役所秘書歴18年、大ベテランの有能秘書。ロジをやらせたら右に出るものなし。

2011年6月13日月曜日

Tardes de te アフタヌーン・ティー

今年の雨季は、6月に入ってからすっかり雨が降らなくなりました。長靴要らずで助かります。さてこの季節に、ちょっぴり嬉しくなれるアフタヌーン・ティーへ行ってきました。久しぶりのリラックス。場所は、以前facebookとtwitterの経営陣が来コスタリカした際に講演会を行った、Intercontinental Real Hotelの1階レストラン。平日午後のみやっています。生クレープもその場で焼いてくれて、いちごのチョコレートがけが美味しかったです。お腹をすかせて行かなくちゃ。
また、このIntercontinental Real Hotelにはとっても素敵なスパがあります。パウダールームも広く、施術室の各部屋にはジャグジーバスもついています。ここのスパはおススメ。もし平日にお休みがもらえるなら、アフタヌーンティーとスパでリラックスしましょ。

Tardes de te :平日午後3時半~6時 ひとり7,900₡ (15.8$、1200円程度)
※ケーキ、アイス、クレープ、その他お菓子食べ放題、コーヒー・紅茶・飲み物飲み放題
Intercontinental Real Hotel & Club Tower:Webサイト
住所:In front of MULTIPLAZA Escazu, Shopping Center








2011年6月7日火曜日

La Republica 経済新聞2面に掲載されました

こちらで私が担当しているプロジェクトが、本日(6月7日)コスタリカの経済新聞 La Republica 2面に掲載されました。



Apoyo a la mujer emprendedora
El Proyecto Autonomía Económica para las Mujeres cuenta con 300 empresarias


¿En qué consiste el Proyecto Autonomía Económica para las Mujeres?

El proyecto está enfocado en lograr la autonomía económica para las mujeres que actualmente mantienen planes empresariales en diversidad de productos o servicios. Este esfuerzo intenta mejorar sus negocios, para lo cual reciben capacitaciones en diversos temas, como finanzas, mercadeo, financiamiento, liderazgo, autoestima, entre otros. Es importante resaltar que el proyecto busca beneficiar a aquellas mujeres que viven en alguno de los 11 distritos del cantón central de San José y con alguna de las siguientes condiciones: madre soltera, jefa de hogar, situación de pobreza y bajo nivel educativo.

¿Qué beneficios obtienen quienes participan?
Las mujeres que ingresan al proyecto reciben capacitaciones y cursos sobre cómo optimizar sus empresas; cómo mejorar como seres humanos y empresarias. Para ello, el programa contempla “Ocho Pasos para la Futura Empresaria”, desde la inscripción hasta la graduación. Los cursos como el de negocios, son impartidos por expertos, gracias a alianzas estratégicas que hemos establecido con el Banco Popular, Banca Mujer del Banco Nacional y con el Programa Nacional de Apoyo a la Microempresa. Al finalizar el proceso durante un año y seis meses de forma continua y permanente, la señora logra graduarse de este proyecto.

¿Quién desarrolla este proyecto?
La Municipalidad de San José y la Agencia de Cooperante Internacional del Japón (JICA).

¿Cuántas mujeres participan?
En la actualidad hay registradas casi 300 mujeres a mayo de 2011.

¿Cuál es el aporte de Japón en este proyecto?
Japón apoya a Costa Rica mediante el aporte de una cooperante técnica japonesa, que ayuda y asume la dirección para establecer el servicio del proyecto dándole un crecimiento importante y colaborando en la incursión de otras instituciones, así logra que este se incluya en el Plan de Desarrollo Municipal 2011-2016, lo que garantiza su continuidad.

¿Cómo se pueden fomentar aún más las relaciones entre Japón y Costa Rica?
La mejor forma de contribuir con el fortalecimiento de las relaciones entre ambos países es que Costa Rica aproveche al máximo este tipo de cooperación que brinda Japón, a través de programas que buscan no solo fortalecer sino potenciar las capacidades del recurso humano costarricense.

¿Cuál es el objetivo de los cooperantes de JICA en el país?
Puede decirse que somos embajadores antes que cooperantes, pues a través del intercambio de nuestros conocimientos y experiencias, damos a conocer nuestra cultura, trabajo y amistad.

Sofía Ramírez

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日本語訳

女性起業家への支援
女性の経済自立支援プロジェクトは300名の女性起業家で成り立っています。

女性の経済自立プロジェクトではどんなことを取り扱っているのですか?
当プロジェクトでは、現在、いろいろな品物やサービスを事業化する計画を持っている女性が経済的に自立できることを中心に考えています。私たちのこの試みは、彼女たちのビジネスを改善することを目指しています。そのために、ファイナンス、マーケティング、資金調達、リーダーシップ、自尊心等の様々なテーマの研修を彼女たちに受けてもらっています。本プロジェクトでは、サンホセ市の11地区に住んでいる女性たちや、シングルマザー・世帯主の女性・貧困状態の人・教育レベルの低い人たちに恩恵を与えようとしていることがきわめて重要な点です。

参加者はどのようなメリットを得られるのでしょうか?
プロジェクトに参加した女性たちは、どのようにしたら会社がもっとも効率的になるのか、さらに人間として、また企業家として向上するためにどうすべきかの研修や教育を受けます。そのために、登録から卒業までの“未来の起業家のための8つのプロセス”というプログラムを考えています。それらのクラスでは、あたかもビジネスコースのように、それぞれの専門家によって指導が行われます。それは、私たちが、Popular銀行、国立銀行のMujer、PRONAMYPE(政府中小企業支援プログラム)との間で私たちが作り上げた戦略的連携によるものです。1年半休みなしにずっと続くこの行程を終了すると、受講者の女性は、このプロジェクトを卒業できることになります。

誰がこのプロジェクトを開発したのですか?
サンホセ市役所とJICA(日本国際協力機構)です。

何名の女性が参加していますか?
2011年5月現在、約300名の女性が登録しています。

このプロジェクトにおける日本の寄付(支援)はどんなものですか?
日本は本プロジェクトのサービスを確立するために、その指導と援助を行う技術協力者を派遣することでコスタリカを支援しています。そして、それはコスタリカにとって重要な成長、他機関とのコラボレーション構築をもたらし、さらに、市役所開発計画2011-2016に本プロジェクトが組み込まれることによりその継続性が保証されたのです。

どのようにして、コスタリカ国と日本国の関係を更に強化することができますか?
両国間の関係強化に貢献する最も良い形は、コスタリカがその人材の強化だけを求めるだけでなく、その潜在力を高めるプログラムを通して、日本が(無償で)提供するこの種の協力をコスタリカが最大限に利用することです。

本国におけるJICA協力者の目的は何ですか?
私たちは協力者の前に大使であると言えます。なので、私たちの知識や経験の交流を通して、日本の文化や仕事、友情を伝えることです。


Sofía Ramírez