2011年6月17日金曜日

Las capacitaciones 1 経済自立のための研修1

女性の経済自立・起業支援の仕事を、市役所女性課でしています。本当は、事業を構築してきた順番に書いていくのが良いと思うのですが、今、目の前で起きていることを、生のまま書いていくことも大事だと思ったので、今回は少し話が飛びます。
私は基本的には超現場の人間です。「大事なことは、全て現場にある。」と考えています。そして、私がこの国の底力を圧倒的に感じるのが、この「研修」の場に立ち会っている時です。今日はその事を少し書きたいと思います。


具体的にお伝えしたいので、まずはざっと大枠を説明します。早い話が、このプロジェクトが解決すべき課題は、「普通のおばちゃん達、如いては、シングルマザーや教育レベルの低い女性たちに、如何に自分で稼いで食べて行く力を付けさせるか。」につきます。そのために、私はまず初めに、プロジェクトに3本の柱を立てました。

1.情報提供 Información
2.研修    Capacitación
3.販売機会 Promoción

そして、2本目の柱「研修」に、以下の5つの機能(クラス)を持たせました。

1)ビジネスクラス        Curso de Negocio
2)価値クラス          Curso de Valoes
3)お金との付き合い方クラス Curso de Finanzas Sanas
4)自尊心クラス         Curso de Auto Estima
5)法人登記・税金のワークショップ Taller de Registro de Negocios

※本当は6つ目として、「家族のクラス  Curso de Familia (家族計画や、家族間の関係をいかに良好に保つかを学ぶクラス)」 もあったのですが、予算の関係上カットになりました。

女性の経済自立・起業支援において研修機能を充実させたことは、必須であり、必然でもあります。なぜなら、長期的な国の成長を考えれば、人の成長=人材育成=教育が最も大事だ、という通説に則ったからで、同時に、それはまさに「ここがコスタリカだったから」比較的容易に実現した、と言えると感じています。


教育という点については、コスタリカ国に来たことは、本当に有利だったと思っています。というより、そのことを見込んでこの国に来た、というのが本音です。
女性の経済自立という仕事においては、「勉強なんかどうでも良いから、すぐにお金になる場を考えてくれ。」と言われるのが筋とされるような現場でもあります。事実、彼女たちを相手に経済自立・起業支援をするには、現金を獲得する現場を提供することは、それはそれでとても大事なことです。本プロジェクトではその部分を、3つ目の柱・販売機会 Promoción にて行っていますが、それはあくまでも現金獲得の練習をする場であって、参加女性たちは最大3回までしか参加できないようにしてあります。=その後は自分で販売機会の場を見つけ出してください、という意味です。

(前にも少し書いたような気がしますが)私は6年前にこの国コスタリカを訪れていて、元大統領の奥様・国会議員の方と会談したことがありました。私は日本で若者たちの自立支援の仕事をしていたため、お会いした際は、主に教育に関するお話をさせて頂いたのですが、「随分、教育熱心な国だなぁ・・・。」というのが何よりもの私の第一印象でした。それもそのはず、この国は1949年には軍隊を全面廃止して、1983年には永世中立国宣言をした国です。1949年に軍隊を放棄して以来、軍事費ゼロ。その費用を教育費として活用している国。国家予算3分の1を教育費に充てており、国民の識字率は97%を超える、超教育大国なのです。小さな国が生き残るために採った選択は、「軍隊を捨てて、人間を育てる。」でした。そんな純粋すぎる思想に、当時は強い感動を覚えたものです。

でしたので、私はこの国に来る前から”コスタリカは教育に重点をおいている国”ということを知っていました。そのため、初等教育の現場にも強い興味を持っていました。「捨てた軍事費で造った教育現場とは、一体どんなものなのだろう?」と。その答えは、この女性たちと接している時に常々私が感じることにあるのではないかと、思っています。つまり、やたら勉強好きなのです。

それも、一部の勉強好きな人だけではありません。女性課に集まってくる女性たちが、勉強すること・知識や知恵を付けることが、本当に好きであり、それが生き残るために必要なことだということを、良くよく理解していると感じます。数時間に及ぶクラスを、一睡もせずにしっかりと耳を傾けて、一言たりとも漏らさないの意気込みで話を聞き続ける「力」があります。私はこのことに、毎日驚かざるを得ないのです。日本だったら、20名居るクラスであれば数名寝ているなんて光景は、良くあるような気がします。挙句、私の勝手なイメージだったのかもしれませんが、中進国・途上国の人はあまり勉強が好きではない、というより、長時間に渡る集中力はそこまで望めない、と思っていたのですが、この国ではそうではないのです。

挙句、この女性たちの中には70歳を超えたおばあちゃまも何人も居ます。その年になって、ビジネスプランの作成方法をゼロから学んでいます。「私は今まで、こういうことを学ぶ機会を得ることができなかった。」と言うのです。信じられますか?70歳を超えた人がビジネスを学び、自分の手で稼いで生きて行きたい。私はそんな人たちを素直に尊敬したいと思うし、できる限りの応援をしたいと思うのです。

私はこういう場面に立ち会った時に、本当の国の底力というものを感じるような気がしてなりません。新しいことを学びたい・経済自立をしたいという意欲を、末端の人間までもが持っている。立派な政策提言よりも、ずっと説得力があるのではないでしょうか? もちろん、褒めちぎるつもりは一切ありません。どの国にも、良い面・悪い面があると思います。この国でも、嫌な事やできない事も、もちろんたくさんあります。しかし、こと、この点については、日本より優れている点ではないかと、感じるのです。


5クラスの詳細は、次回より。

1)ビジネスクラス        Curso de Negocio
2)価値クラス          Curso de Valoes
3)お金との付き合い方クラス Curso de Finanzas Sanas
4)自尊心クラス         Curso de Auto Estima
5)法人登記・税金のワークショップ Taller de Registro de Negocios


※研修風景