2010年9月17日金曜日

¡Pura Vida! ぷ~ら・び~だ 100回記念

皆様の応援を受け、お陰さまで本ブログ100回目のエントリーとなりました。この国に来て早1年を迎えます。あっという間でした。独立記念日の次の回、というのが良いですね。

コスタリカの挨拶言葉といえば、この「¡Pura Vida!」。発音はまさに平仮名で「ぷ~ら・び~だ」という感じです。英訳すると pure life の意で、この国では純粋であること・素直であることに、価値が置かれると言われています。とはいえ、それはまたの名を「適当~」と言うような気もします…。様々な場面でこの挨拶は使われますが、特に良いことがあった時・ポジティブな意味を返す時に使います。

本当に健全な国だなと感じる瞬間も多々あります。どの家庭でも午後9時を過ぎると寝静まります。朝は5時には起きます(早い人は4時ごろには起き出します)。国民全体が早寝早起き。そのため、朝は遅くとも8時半にはどこもフルで仕事が行われていて、帰りも早く上がります。仕事の定時は午前8時~午後4時です。お酒を飲みに行くといっても、酔っ払うまで飲むなんてことは一切なく、会社の忘年会でさえ午後4時から始まり7時には終わってしまいます。首都San Joséですらこうなのですから、深夜営業のお店がほとんど無いのもうなずけます。(深夜営業をしているのは、時差中の観光客向けのみです。)ちなみに年末年始のfeliz año nuevo(Happy New Year)でさえ、深夜12時には全てが静まり返ります。

話し合いに重点を置いていることも、国民性の1つではないかと思います。軍を放棄していることは以前も少し書きましたが、問題が起きると必ず話し合います。私がこの地に着任して間もない頃、西語ができず意思がうまく伝えられずに困って、言い合いになった時、「ちょっと待って。最初に私の意見を述べます。次に、あなたの意見を聞かせて下さい。」と言われ、順番に意見を述べ合ってその(小さな)問題を解決したことが、とても印象的でした。

女性の社会進出も、日本よりずっと進んでいます。今年は初の女性大統領就任の年でしたし、省庁トップも半分は女性です。役所の職員も半分は女性です。とにかく女性は働き者で、大変しっかりしています。「一体、男性はどこで仕事をしているんだ?」と思ってしまうほど、女性が活躍しています。(というより、男性に甲斐性が無いのがこの国の特徴?かもしれません。)私は市役所女性課で働いていますが、先日とある方と話をしていた時、「この国で女性課は不要。それより、男性課を作って男性の地位を守る方が大事だ。」なんて冗談が出た位です。それでも”マチスタ”と呼ばれる男性優位の時代が長かったため、いくら働かなくとも男性の方が給料が良いのは当然ですし、なんだかんだ言っても社会では男性が優遇されているというのが、事実のようです。(ということは、女性が本領発揮したら一体どうなってしまうのでしょう…。。)

しかしビジネスに関してはこの Pura Vida は大問題です。契約に対して(日本人の目から見ると、)甘すぎる。契約書の内容をきっちりやらなくても、平気で請求書を出してくるし、一切悪いとも思わない態度で出てきます。仕事が完了していないのに平気で請求書を出してくる業者も凄いけれど、支払う方も適当で「ま、いいか。」で大した確認もせずに支払ってしまうところが、唖然。。(汗 この場所で経済自立を伝えるということは、まさにその最初の一歩「責任・信用」を理解させ、教えるということ。これはなかなか大仕事です。この国には"Curso de Valores" 価値のクラス、というのが存在していて、ビジネスを始める前に責任・信用・自律・約束を守ること、等をゼロから教えます。日本であれば、これらの最初は幼稚園や小学校もしくは家庭内で学ぶことのような気がしますが、その概念がこの国には無いため、ビジネスを始める時に「別途クラス」として学ぶのだと、着任当初にとある女性起業家の方に教えてもらい、大変驚いたのを覚えています。
また、お金の前に跪(ひざまず)かないのも、この国の特徴かもしれません。日本人ならお金を持って来るのに、もっと必死になるような気がします。「si Dios quiere, 神が望めば(ご縁だから)」くらいの気で居るし、「無ければ無いで、別のことを考えよう。」が基本にあります。知人から以前逸話で「残業代を2倍にすると言っても、『このままで構わないから定時(4時)に帰ります』と言うのがコスタリカ人。『ぜひ残業させて下さい』と言うのがパナマ人。『では2倍働く!』と言うのがメキシコ人。」というのを聞いたことがあります。コスタリカ人はお金を稼ぐことに対して(日本人と比べると)そこまで躍起になりません。基本的には、お金が有ろうが無かろうが、今でも誰もが適当に幸せそうに暮らしています。だからこそ、Pura Vida なのでしょう。(もちろん有るに越したことはないです。だから寄付となれば、「くれ!くれ!」と騒ぎます。)

国民性というのはどの国にもあると思いますが、基本概念として”純粋さ”に価値を置いているこの国は、キレイごとが大好きで、それでも他の中米諸国と比べれば様々な意味で優等生、というのが、1年経った私の見解でした。ご興味のある方は、コスタリカに1度来てみて下さい。