2011年7月13日水曜日

Caso Karla 2 Karlaさんのケース2

Caso Karla 1 Karlaさんのケース1、の続き。

2010年5月、Banco Nacional本社ビルの3階会議室で、Karlaさんは銀行担当者と私の前で、例のごとく泣き出し、例のごとく過去のストーリーを語り出しました。今まで相当苦しかったんだろうな、は確かに良く分かりました。しかし、そのドラマティックストーリーは解決には不要。銀行担当者も私も、「いや、その話はよいから。泣く時間があったら、解決しよう。あなたはラッキー。ここに辿り着いたのだから。この機会を必ず活かして。」

Karlaさん自身は既にcreditを大きく失っているため、直接、この国立銀行Banco Nacionalから更にお金を借りることはできません。どう解決できるのか?商品の製造プロセスについて聴いている時でした。「市内の6店舗に商品を卸しているとなれば、相応の数を作らなくてはいけないはずです。どうやって作っているんですか?」という話に及んだ時、「いとこも一緒に作っています。」という話が出ました。「彼女はどこかからお金を借りているの?」「いいえ。ありません。」そこを皮切りに、銀行担当者からとある提案が出ました。「では、そのいとこのが銀行から借ることができるなら、あなたの負債を一旦一括返済して清算することができる。ただし当然、彼女に対してあなたは、銀行への返済義務を負うことになる。つまり、彼女のcreditを借りて、低金利の国立銀行に借り換えて、一旦キレイに整理するという方法。飲めそうか?」Karlaさんからの返事は、”解決する道があるんだ”を知ったことによる大きな安堵もあってか、大泣きしながら即答で"Si.(yes)"を返していました。 「ん?いとこ本人の確認は取らなくて良いのか?」

解決の道筋が見えたので、私はその時点で市役所に戻りました。
「後は頼んだ。」「了解。」
信頼関係とは、こういう時間を経ることで、少しずつ構築されてくるものだと思います。


その後どうなったか。
国立銀行も、もちろんバカではない。既に7件のcreditの失敗実績があり、返済裁判を起こされている相手です。開発部を通じて融資窓口に通された彼女は、最終的に「まずは研修を受けてもらう。実際の融資は、その結果を診てから。」という条件を出されました。「ただしその研修費用は、銀行持ちで行う。」と。私の目から見れば”至れり尽くせりじゃないか。”でしたが、今思うと、彼女はもうその時点で相当に切羽詰まった状態だったのかもしれません。

この話が行われていた2010年6月Banco Nacional側は、ちょうど開発部だけが独立した女性銀行Banca Mujerをまさにオープンする直前でした。新オープン用のプロモーション予算が、いくばくかあったのではないでしょうか。開発部担当者(=Banca Mujer担当者)は「本予算を、市役所女性課の”シングルマザーで貧困状態にある女性たち”の研修費として充てよう。」と考えてくれました。それは、ありがたいことに私yukariを信頼してくれていたから、実現に動いた話でした。私のところに電話がありました。「費用銀行持ちで、ビジネスクラスを実施する。対象女性を20名集めて欲しい。そこにKarlaを入れる。ただし、他の女性たちはcreditがクリアであることが条件。理由は、研修の後に融資対象の候補にするから。将来的に研修費用分を回収したい。」
電話をもらった時、私は「それはグッドアイディアじゃないか!」と思いました。市役所に来る”シングルマザーで貧困状態にあり、教育レベルの低い女性たち”を国立銀行が支援する。素敵なアイディアです。試してみる、価値はある。早速、女性課課長に話をすると、「Banco Nacionalは女性課を信用してなかったんじゃないのか?そんなことがあり得るのか?」と、とても驚いていました。「大丈夫だから。やる。私が話をまとめるから。」

女性銀行と市役所女性課のアライアンス実現に向けた具体的な準備においては、銀行担当者から1点、重要な確認事項が提示されました。「これは銀行にとって投資に当たる。だから、この費用で研修した女性たちを、研修後に他銀行に渡すことはできない。人の手配を市役所が行う以上、女性課課長もしっかりこのことを理解しておいてもらわないと困る。コミットできるか?」 私の目から見れば、その条件は当然のことでしたので、「もちろんです。市役所側は、登録者女性たちをグループ化して扱い、他銀行と関係を持つ人間と混同しないよう取り扱います。」と約束をしました。
これは、市役所が、市役所外機関の予算を使ったアライアンスや協賛を実現する上で、とても大事なポイントになるので、女性課課長にその点を何度も説明しました。「市役所の女性たちを、他の機関の予算を使って支援を行う。うちの金じゃない。だから、協賛を受ける人たちにその説明をしっかりする必要があるし、市役所スタッフもちゃんと理解しておかなければいけない。当然、市役所スタッフは登録者を混同しないよう、十分気を付けて(女性たちのグループ化を)扱う必要がある。」ソーシャルワーカーである女性課課長は、正直を言えば、「何となく分かるけれど、それが実際にどういう状況を生むのかは、良く分かりません。」といった状態でした。まぁ良い。順番にやっていきましょう。準備が整ったところで、2010年8月プロジェクトに登録していた150名から、残りの19名の女性選抜を行いました。

2010年9月、女性銀行x市役所女性課の研修アライアンスが本格的に始まりました。12月までの4ヶ月間、80時間に及ぶビジネスクラスを、20名の女性に対して実施します。その研修内容は、8年前にTECNOMYPE(政府中小企業技術支援機構)がBID(Banco de Interamercano Desarrollo:中央アメリカ開発銀行)の出資により製作したもので、今回採用されたコースは ¿Cómo lograr el éxito en mi empresa? (どのように私の会社を成功させるか?)の80時間でした。実施主体は、Fundación Omar Dengoという財団。つまり、Banca Mujer(Banco Nacional)はお金を出すだけの、完全外注です。
いずれにせよ、その時の私は「こんなことが実現するなんて!」と新しいことが生み出されるエネルギーの中で、ワクワクしていました。


ところが。Karlaさんはこの研修期間中の11月、Banco Nacionalの競合銀行であるBanco Popularを訪ねていました。私には一切何も知らせずに。きっと、待ってはいられない状態にあったのでしょう。そして、同様の状況説明をBanco Popularにしただけでなく、Banco Nacionalから提案された解決方法、つまり”いとこのcrediを通じて低金利に借り換える事”を、彼女の口から伝えていました。その後、後に市役所女性課ともアライアンスを結ぶことになるBanco Popularは、競合銀行の国内最大手Banco Nacionalより少しだけ安い金利を提示し、Karlaさんとそのいとこはそれを飲み、2011年1月Karlaさんのいとこに対する融資が実施されました。


「事前に一言、相談してくれれば良かったのに・・・。。。」
後に知った時、びっくりし過ぎて顎が外れそうになりながら、そう思いましたが、既に後の祭り。

問題は、Banco Nacionalと、市役所女性課というより私yukari、の関係です。
私が紹介をして相談をお願いしたKarlaさんであり、私に対する信頼の元で実現したアライアンスです。責任は、私にあります。


続きはまた次回。